助監督って何をやってるの?映画製作における仕事や役割とは

映画ファンの方々、『映画のたからばこ』読者の皆さん、こんにちは。
猫好きで映画監督&ライターのsela(偽名)です。

皆さんは『映画の助監督って何をやるの?』って思ったことはありませんか?

世の中の人たちと話していると『助監督』という仕事が、どうも正確に理解されていないという印象を持っていますので、ちょっとお話しさせてください。

今回は、少し前の作品になってしまいますが、ボクがチーフ助監督として関わらせていただいた第81回米国アカデミー賞外国語映画賞授賞の栄冠に輝いた滝田洋二郎監督作品『おくりびと』を例にお話しますね。

Sponsored link

助監督の人数は予算次第

作品の予算規模にもよりますが、基本的に、一つの作品に対して概ね、チーフ助監督、セカンド助監督、サード助監督という三人体制が定番になっています。

すっごい低予算だと、助監督が一人でいろんなことを兼務するなんてこともあります。
予算が潤沢にある作品だと五人体制なんてことあります。
要するに、予算次第ということですね。

助監督の役割

今回は、あくまでスタンダードな形で、それぞれの助監督が、どういう役割であるかを説明しましょう。

サード助監督の役割

まずサード助監督。

主に小道具係です。
とは言っても、小道具を揃えるのはそれ専任のスタッフがいます。
「じゃあ、なにやるの?」とお思いでしょう。

撮影現場では、監督は色々なことに思いを巡らせます。
役者の演技だったり、カメラアングルだったり、衣装、小道具の一つにも監督は目配りをしなくちゃなりません。

いちいちパートのスタッフ伝えていたら体がいくつあっても足りません。
そこで助監督の出番です。

今、説明しているサード助監督に関しては、小道具関係に特化したスタッフなのです。

撮影準備段階やクランクイン後、サード助監督は監督の意を汲み出来るだけ正確に、なおかつ監督の想像以上の小道具を小道具係のスタッフに伝達します。

「なんだ。単なる伝書鳩じゃん」
いえいえ、そんなことはありません。

この話のミソは、「監督の想像以上」というところなのです。

小道具係のスタッフは、脚本に書かれたものを自分なりのイメージで用意します。
用意した小道具は、ドンピシャと監督のイメージに合う場合もあるし、全く見当はずれの場合もあります。

イメージのズレは良し悪しではなく、脚本を読んで持つイメージが人それぞれ違うので仕方のないことなのです。
ズレを調整していくのが『小道具関係に特化したサード助監督』なのです。

サード助監督は、主に現場経験が浅い者が役割を担うことが多く、今まで説明してきたことはあくまでもスタンダードはこうあるべきだというお話です。
実際は、経験豊かな小道具係の方々に教わりながら仕事をしているというパターンの方が圧倒的な現実なんですけどね。

ちなみに余談ですが、小道具係のスタッフに限らず、映画撮影スタッフは基本的に『職人さん』が多いので、とてーーーも怖い人たちばかりです。
ハートはあったかいけどね!

ちょっとこぼればなし 「監督という商売とは意見をまとめること」

全てのスタッフは、作品を請け負った時点で脚本を手渡されます。

人は千差万別。
小説を読んで、読んだ人のイメージが全て違うように、脚本を読んでも十人十色イメージは違います。

全ての人のイメージが違うからと言っても、誰かが作品のイメージに統一性を持たせないと、作品のカラーがてんでバラバラになってしまい成立しません。

そこで監督の出番です。
監督の個性によっていろいろありますが、ボク個人の意見としては、自分の想像以上のイメージを持っていてくれるスタッフが大勢いる方がより良い作品が出来ると思っています。

なぜならば一人のイメージには限界があるからです。
そして、正しいかどうかはわかりません。

監督の商売とは、多くのイメージをより多く取り入れて、自分の持つイメージをより膨らませていく商売だと思います。

セカンド助監督の役割

主に『衣装・俳優担当』です。
セカンド助監督の役割の一つは、「衣装に関してのイメージ調整役」です。

では、俳優担当とは?

なにも演技をつける役割ということではありません。
演技指導は監督の担当です。

では何をするのか?

俳優さんだって人間です。
監督の指導に納得できないこともあります。

特に主役を張る方々は作品を引っ張っている座長としての自覚もありますから、主張は半端なくすごいです。

そういう方々には監督が気を使い、なるべく自分のイメージに合う演技に持っていくよう努めるわけですが、セカンド助監督は、監督の目配りが足りなかった時など、そこをフォローする役目なのです。

平たく言ってしまえば、俳優の愚痴聞き係とも言えます。
「監督に出来ない相談に乗る相談係」と言い換えてもいいでしょう。

他にも、エキストラの演技指導(これはあくまでも基本的にいうことで)現場進行の要となるのがセカンド助監督です。

かくもセカンド助監督もなると、かなり重要な位置付けになるのです。
基本的に助監督の序列というのは、現場経験年数によって決まっていくことが多いのです。

つまりこれは経験によって、対応力に優れ、様々なことを知っているはずなので、より重い責任を課せられるということですね。
これはどんな職場でも同じですよね。

チーフ助監督の役割

ボクが『おくりびと』で担当したパートです。
簡単に言ってしまえば、チーフ助監督とは『撮影スケジュール全般にまつわる調整係』です。

と言ってしまうとなんだか簡単な印象を持たれてしまいそうですが、これがなかなかどうして大変なのです。

例えば、ボクが担当したわけではありませんが、こんな話があります。

撮影というのは、何もシーン1から順番に撮影するわけではありません。
もちろん、順番通りにできるのが理想ですが、現実はそうもいきません。

ある作品など、スタッフも俳優もまだ馴染んでないのに、クランクイン初日にラストシーンから撮らなければならないということがありました。
理由は、ロケ場所の都合、売れっ子俳優がたくさん出ていた為です。

これはとても辛いことです。

だってこれから始まるというのにいきなりラストシーンですよ!
誰が考えてもちょっと違和感がありますよね。

もちろんスケジューラー(チーフ助監督)は、独断でそんな結論は出しません。
当然、監督に相談します。

監督も嫌でしょうが、「かくかくしかじかこういう理由なのです」と隙のない説明をされれば、納得せざるを得ません。

しかし、ラストから撮影する決断に対しては、誰も監督を責めません。
いかなる理由があろうと、そういうスケジュールを組んだのはチーフ助監督の責任だからです

かくもチーフ助監督は、本来監督が被るであろう責任の一旦を担わなくてはならない立場なのです。
監督が気持ちよく演出できるための環境づくり、時には防波堤のような役目もしなくてはならないのがチーフ助監督の務めなのです。

↓コチラも併せてどうぞ↓
→知ってた?映画ができるまでの流れを「おくりびと」の助監督が裏話を交えながら解説

まとめ

以上、ざっくりとでしたが『助監督』という仕事について説明してきました。

まぁ、ひと言で言ってしまえば『助監督とは監督と一心同体でなければならない』ってところでしょうかね?

もっと言うならば、皆さんがイメージするような「助監督は監督の使いっ走り」という側面もあるし、「時には脚本を書くのも手伝う」なんてこともありますよ。

事実、『おくりびと』では、監督を中心に、ボク、セカンド助監督も、自画自賛に聞こえてしまうかもしれませんが、脚本作りには大いに貢献させていただきましたからね。
クレジットこそされてませんが、これは本当の話。

Sponsored link

この記事を書いた人

sela
selaなまけもの
ときどき映画を撮ったりしています。だけど基本なまけものです。あんまり仕事をしたくありません。

最近、ドローンを買いました。
だけど仕事とは関係ありません。あくまも趣味です!
「ドローンを買った」と人に言うとみんなが口を揃えたように「盗撮するんだろ!?」と言いますが、そんなことは決してありません!

猫が好きです。短足猫のマンチカンといわゆる雑種の日本猫、2匹飼ってます。
名前はチャカピンとキーちゃんです。
とても仲がいいです。

YouTubeとfacebookにアクセスされたら、本名バレバレです。
だからアクセスしないでーーー!(笑)

ABOUTこの記事をかいた人

ときどき映画を撮ったりしています。だけど基本なまけものです。あんまり仕事をしたくありません。 最近、ドローンを買いました。 だけど仕事とは関係ありません。あくまも趣味です! 「ドローンを買った」と人に言うとみんなが口を揃えたように「盗撮するんだろ!?」と言いますが、そんなことは決してありません! 猫が好きです。短足猫のマンチカンといわゆる雑種の日本猫、2匹飼ってます。 名前はチャカピンとキーちゃんです。 とても仲がいいです。 YouTubeとfacebookにアクセスされたら、本名バレバレです。 だからアクセスしないでーーー!(笑)